タイトル:自治会・町内会負担軽減&IT活用事例ブック めざせ、担い手不足解消! 著者:水津陽子 発売日:2022/06/02 出版社:実業之日本社
内容・こんな人にオススメ
この本は、令和の時代に自治会・町内会が抱える課題と、運営における負担軽減・IT活用について、具体的な事例や手法がわかりやすくまとめられています。
自治会・町内会の現状に不安や危機感を抱えている人、自治会・町内会の運営を時代に合った形に変えたいと考えている人にとって、大いに参考になる一冊です。
著者の水津陽子(すいづ・ようこ)さんは、自治会・町内会の活性化に関する講演やコンサルティング等を全国で多数手掛けており、著書も多く出版されています。
なお、この本の執筆がコロナ禍の収束に向かいつつあるタイミングということもあり、
- コロナ禍をきっかけに自治会・町内会に起こった大きな変化
- その変化をコロナ後にどう活かすか
という視点での記載が比較的多いです。
読み手は自身の経験を投影して、臨場感を持って読むことができます。
組織&ルールを「昭和」から「令和」へアップデート!
加入率低下と担い手不足は自治会・町内会の課題としてよく知られており、この本でも新しいデータが図表で見やすく解説されています。
また、加入率低下につながるマイナス要因の分析と、その軽減のための取組み例も紹介されています。
面白いのは、マイナス要因を軽減するための取り組み例が”チェックリスト”形式で紹介されていることです。
自分の自治会・町内会で既に取り組まれている項目にチェックを入れていくと、取り組みの充実度や強化すべき部分を可視化することができます。これは是非試してほしいオススメのツールです。
(私の自治会は…、チェックがあまり入りませんでした…)
IT活用&広報術
自治会・町内会の運営に活用できるITツール(LINE、Zoom等)の種類と活用事例が紹介されています。実際の自治会・町内会での事例が多く記載されているため、自分の自治会・町内会のニーズに合った活用方法を想像しながら読み進められます。
また、実際にゼロからIT活用を進めるためのステップや注意点が詳しく書かれている点は、IT活用を推進する立場の方、特に若手の方の参考になりそうです。
世代間あるいは個人間でITへの関心や使用経験にばらつきがあるため、そこにどう配慮すべきか理解しておくことで、IT活用を進める際のトラブル軽減につながると思われます。
自治体の役割と先進事例
自治会・町内会と自治体の協力により実現できたIT活用や効率化などの事例が複数紹介されています。
実現までの進め方はまさに千差万別で、自治会・町内会内あるいは自治体との協力を通じて柔軟に取り組むことの大切さが感じられます。
また、自治体からの依頼事項(調査、配布、推薦など)が自治会・町内会の運営を圧迫しないよう見直しが行われていることや、全国の自治会・町内会を対象に行われた公的な調査結果「地域コミュニティに関する研究会報告書(2022年4月)」の解説もあります。
自治会・町内会の中からは見えにくい部分ですので、現状と課題を幅広く理解したい人にオススメの内容です。
地域コミュニティに関する研究会報告書については、次の記事で詳しく解説しています。
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